歯医者さんで「次は3ヶ月後に」と言われ、友人は半年に1回だと聞いて、どちらが正しいのか迷った経験はありませんか。
フリーライターの吉岡朋子です。
結論からお伝えすると、多くの大人の目安は3〜6ヶ月に1回で、その幅のどこが自分に合うかはお口の状態で決まります。
この記事では、歯科医師への取材と公的なデータをもとに、自分に合う間隔の見つけ方をお話しします。
目次
定期検診の頻度は「3〜6ヶ月に1回」がひとつの目安
最初に、3ヶ月と半年のどちらが正しいのかという疑問に答えておきます。
取材でお会いした歯科医師の答えは、ほぼ全員が「どちらもあり得ます」でした。
3ヶ月派と半年派、どちらも間違いではありません
歯科医院によって勧められる間隔が違うのは、方針がばらばらだからではありません。
診ている患者さんのお口の状態が違うからです。
歯ぐきの炎症が落ち着いたばかりの人には短めの間隔を、長く安定している人には少し長めの間隔を、と歯科医師は一人ひとりに合わせて提案しています。
友人が半年で、あなたが3ヶ月と言われたのなら、それは二人のお口の事情が違うというだけのことです。
「約3ヶ月」という数字の出どころ
3ヶ月という数字は、歯周病の治療を終えた人の管理から来ています。
日本歯周病学会の学会誌に掲載された解説「メインテナンス・SPTにおける3つのポイント」では、一般的には約3ヶ月ごとのメインテナンスが望まれるとしたうえで、リスクに応じて間隔を増減させることが大切だと述べられています。
間隔を決めるときの材料として挙げられているのは、最初に受診したときの病気の程度、再評価したときの歯ぐきの状態、毎日の歯みがきの状態、全身の病気の有無です。
つまり「3ヶ月」は出発点であって、誰にでも当てはまる決まりではありません。
半年に1回でも差がなかったという研究もあります
反対に、間隔を延ばしても大きな差が出なかったという報告もあります。
医療研究の信頼度の高いまとめとして知られるコクランレビューでは、2020年に定期検診の間隔を比べた研究を検証しています。
大人の場合、6ヶ月ごと、24ヶ月ごと、リスクに応じた間隔の3つを4年間比べたところ、虫歯や歯ぐきの出血、口の健康に関わる生活の質に、ほとんど差は見られなかったそうです。
ただ、この結果をもって「検診は2年に1回でいい」と受け取るのは早いと私は思います。
中心となった研究はイギリスで、もともと定期的に歯科へ通っていた人たちを対象にしていました。
歯周病そのものの進み方も、歯ぐきの出血以外は詳しく調べられていません。
口の中が安定している人なら、間隔を延ばしても大きく崩れにくい、という程度に受け止めておくのがよさそうです。
自分に合う頻度を見きわめる目安
では、自分はどのあたりを目安にすればいいのでしょうか。
取材で伺った話と先ほどの資料をもとに、状態別の目安を表にまとめました。
お口の状態別・定期検診の頻度の目安
| お口の状態 | 頻度の目安 |
|---|---|
| 歯周病の治療を終えたばかり、歯ぐきの腫れや出血をくり返す | 1〜3ヶ月に1回 |
| 歯周ポケットが深めの部分がある、被せ物やインプラントが多い | 3ヶ月に1回前後 |
| 虫歯も歯周病も落ち着いていて、歯石がつきにくい | 4〜6ヶ月に1回 |
| 長年安定していて、毎日のケアも行き届いている | 6ヶ月に1回以上の間隔を相談 |
この表はあくまで目安です。
最終的な間隔は、実際にお口の中を診た歯科医師と相談して決めてください。
間隔を短めにしたほうがいい人
次のような人は、3ヶ月より短い間隔を勧められることがあります。
- 歯みがきのときに歯ぐきから血が出ることがよくある
- 歯石がつきやすく、前回の検診から時間がたつとざらつきを感じる
- 糖尿病など、歯周病と関わりのある持病がある
- たばこを吸う
- インプラントや被せ物が多く、境目に汚れがたまりやすい
- 仕事や介護が忙しく、毎日のケアが手薄になりがち
どれか1つでも思い当たる場合は、「今の間隔で大丈夫でしょうか」と一度確かめてみる価値があります。
間隔を延ばしやすい人
反対に、ここ数年は虫歯の治療をしておらず、検診のたびに歯ぐきの状態がよいと言われている人は、間隔を延ばせる可能性があります。
フロスや歯間ブラシを毎日使い、歯石がほとんどつかない人も同じです。
ただし、延ばすかどうかを自分だけで決めるのはおすすめしません。
歯周病は痛みが出にくく、自分では「調子がいい」と感じていても、歯ぐきの奥で少しずつ進んでいることがあるからです。
40代・50代こそ、定期検診の頻度を見直したい理由
私自身、50代に入ってから、歯科医院で勧められる間隔が以前より短くなりました。
最初は少し戸惑いましたが、データを見て納得したことがあります。
データで見る、年齢とともに変わる歯ぐき
厚生労働省の「令和6年歯科疾患実態調査」には、深さ4mm以上の歯周ポケットがある人の割合が年齢別に載っています。
歯周ポケットは歯と歯ぐきの間のすき間で、4mmを超えると歯周病が進んでいるサインのひとつとされます。
女性の数字を抜き出すと、次のとおりです。
| 年齢(女性) | 4mm以上の歯周ポケットがある人の割合 |
|---|---|
| 40〜44歳 | 21.3% |
| 45〜49歳 | 37.0% |
| 50〜54歳 | 39.0% |
| 55〜59歳 | 44.3% |
40代前半から後半にかけて、割合が大きく上がっているのがわかります。
50代後半になると、女性の半数近くが当てはまります。
若いころに半年ごとの検診で問題がなかった人でも、この年代で一度、間隔を見直してもらう意味は十分にあります。
検診に通っている人は6割あまり
同じ調査では、過去1年間に歯科検診を受けた人の割合は全体で63.8%、女性に限ると66.5%でした。
前回の調査から増えてはいるものの、50〜54歳の女性では62.9%です。
言い換えれば、同世代の女性のおよそ3人に1人は、この1年で一度も検診を受けていないことになります。
「痛くなってから行けばいい」と考えていた時期が、私にもありました。
けれど、この年代の歯ぐきの変化を知ってからは、症状がないうちに診てもらう意味をしみじみ感じています。
口元の印象は、歯ぐきにも左右されます
女性誌の編集をしていたころ、口元のエイジングケアの特集を何度も担当しました。
取材を重ねるなかで知ったのは、歯の白さだけでなく、歯ぐきの色や引き締まり方も口元の印象を大きく左右するということです。
歯ぐきがやせて歯が長く見えたり、歯と歯の間に黒いすき間ができたりすると、実年齢より上に見られやすくなります。
定期検診は、健康のためだけでなく、美しい口元を長く保つための習慣でもあると私は考えています。
定期検診でしていることと、頻度の相談のしかた
間隔の意味がわかると、検診の時間の過ごし方も変わってきます。
最後に、検診の中身と、歯科医院との話し方をお伝えします。
1回の検診でしていること
日本歯科医師会のページ「歯科健診を定期的に受けよう」では、健診の内容として次のような項目が紹介されています。
- 歯と歯の間など、見えにくい場所の虫歯のチェック
- 歯周ポケットの深さの測定
- 歯ブラシやフロス、歯間ブラシの使い方の指導
- 歯垢の染め出しと除去
- 歯石の除去
- 口の粘膜の病気のチェック
歯石は毎日の歯みがきでは落とせません。
自分では届かないところを定期的に整えてもらうことが、検診に通う大きな理由のひとつです。
「次は何ヶ月後?」を聞くときの伝え方
間隔に疑問があるときは、遠慮せずに理由を尋ねてみてください。
取材先の歯科衛生士さんからも、「理由を聞いてくださる患者さんのほうが、ケアが続きやすい」という声を聞いたことがあります。
たとえば、こんなふうに聞くと角が立ちません。
- 「3ヶ月後とのことですが、私の場合はどこが気になる状態なのでしょうか」
- 「今の状態が続けば、いずれ間隔を延ばすこともできますか」
- 「間隔を空けるとしたら、家でどんなケアを足せばいいですか」
理由がわかると、次の検診までに自分が気をつけることもはっきりします。
間隔は言われたとおりに従うものというより、歯科医師と一緒に決めていくものだと考えると、ぐっと話しやすくなります。
無理なく通い続けるために
どれほど理想的な間隔でも、続かなければ意味がありません。
私が続けられているのは、会計のときに次の予約まで入れてしまう習慣のおかげです。
帰り道にお茶の稽古の予定と並べて手帳に書いておくと、自然と生活の一部になりました。
費用や健康保険の扱いは、お口の状態や検診の内容、医院の体制によって変わります。
気になるときは、受付で「次回はどんな内容で、どのくらいかかりますか」と先に聞いておくと安心です。
まとめ
定期検診のちょうどいい頻度は、多くの大人で3〜6ヶ月に1回が目安です。
3ヶ月は歯周病の管理から生まれた数字で、状態が安定していれば間隔を延ばせることもあります。
歯ぐきから血が出やすい人、被せ物が多い人、持病がある人は短めに。
長く安定している人は、歯科医師と相談しながら少しずつ延ばしていく。
そして40代後半からは、若いころと同じ間隔でいいのか、一度確かめてもらうことをおすすめします。
次の検診では、「私の場合、なぜこの間隔なのでしょう」とひとこと聞いてみてください。
その答えが、あなたにとってのちょうどいい頻度を知るいちばんの近道になるはずです。