ホワイトニング歯みがきを使い続けているのに、思ったほど白くならない。
そんなもどかしさを抱えていませんか。

美容・健康ジャンルのライター、吉岡朋子です。
じつは市販品と歯科医院で扱う専売品とでは、同じ「白くする」でも働きかける場所が違います。

この記事では、その違いと、それぞれに潜む落とし穴を整理しました。
先に結論をお伝えすると、表面の着色なら市販品、歯そのものの色なら歯科医院です。

同じ「白くする」でも、働きかける場所が違います

市販品が落としているのは、表面についた着色

ドラッグストアに並ぶホワイトニング歯みがきの多くは、歯の表面についた着色汚れ(ステイン)を落とすためのものです。
日本歯磨工業会のQ&Aによると、ステインはタバコのやにやコーヒー、紅茶などの成分が、歯の表面のたんぱく質と結びついてできたもの。
歯ブラシだけでは落としきれず、清掃剤の入った歯みがき剤を使うと効果的に除去できる、と説明されています。

つまり、市販品で白くなったと感じるのは、上に重なっていた汚れがとれて、もともとの歯の色が顔を出したからです。
歯の色そのものが明るくなったわけではありません。

私はお茶の稽古を長く続けていて、抹茶を口にする機会が人より多いほうです。
それでも市販の歯みがきに替えてしばらくすると、前歯のくすみが軽くなったのを感じました。
市販品はこういう「たまった着色」には、きちんと応えてくれます。

歯科専売品は、歯の内側の色に作用する

一方、歯科医院で扱うホームホワイトニングの薬剤は、歯そのものの色を明るくする「漂白」を目的にしています。
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」によると、代表的なのは10%の過酸化尿素ゲルです。
歯型をとって作る専用のマウスピースに入れて装着すると、過酸化尿素がゆっくり分解し、低濃度の過酸化水素が発生します。
その濃度は、傷口の消毒に使うオキシドールと同じくらいだそうです。

日本歯科審美学会は、漂白の効果が学術的に認められているのは過酸化物からなるホワイトニング剤を使う方法で、これらは医薬品医療機器等法のうえで医療用具(歯科材料)にあたる、としています。
歯科医師か歯科衛生士でなければ、これを使って施術することはできません。

違いを表で比べると

比べるところ市販のホワイトニング歯みがき歯科専売のホームホワイトニング
目的表面の着色汚れを落とす歯そのものの色を明るくする
おもな成分清掃剤、着色を浮かせる成分など10%過酸化尿素ゲル
手に入れ方ドラッグストアや通販歯科医院で診察を受けてから
使い方毎日の歯みがき専用マウスピースで1日2時間、2週間が基本
白さの上限もともとの歯の色までもともとの歯の色より明るくできる
費用数百円〜数千円自由診療で医院により差が大きい

市販品を選ぶときの落とし穴

パッケージの「白くする」は、着色を落とすという意味

売り場で「歯を白くする」と書かれていると、歯の色が変わるように受け取ってしまいがちです。
けれど日本歯磨工業会によれば、化粧品の歯みがき剤が持つ「歯を白くする」という働きは、清掃剤などの成分が汚れを落とした結果として表れるもの。
漂白とは別の話です。

もともとの歯の色が黄みがかっている方は、どんなに丁寧にみがいても、市販品だけでそれ以上明るくすることはできません。
ここを知らずにブランドを次々と替えていくのが、いちばん多い遠回りだと感じています。

力を入れてこすっても、白さは増えない

白くしたい一心で、つい歯ブラシに力が入ってしまう方もいます。
日本歯磨工業会によると、現在市販されている歯みがき剤は研磨力についての国際規格を満たしていて、ふつうに使う分にはエナメル質への影響は心配ないとされています。
ただしそれは、ふつうの力でみがいた場合の話です。

取材でお会いした歯科衛生士さんは、強くみがく癖のある方ほど歯ぐきが下がりやすい、と話していました。
着色は時間をかけて少しずつ落とすもの。
やわらかめの歯ブラシで、いつもどおりの力加減で十分です。

「漂白」をうたう通販品やサロンとの付き合い方

最近は、PAPという成分を配合した「漂白」をうたうジェルやシートが、通販で数多く出回っています。
店頭やネットで一般に買える以上、学会のいう医療用のホワイトニング剤とは別の扱いの製品です。
広告の効果の説明はあくまでメーカーの主張として受け止め、歯科医院の薬剤と同じだとは考えないほうが安心です。

セルフホワイトニングのサロンにも注意が必要です。
日本歯科審美学会は、サロンで行われているのは医薬部外品や化粧品を使ったクリーニングに相当する行為だろうとしたうえで、推奨しない立場を示しています。

国民生活センターは2024年7月、「セルフエステ」の相談が2022年度に400件を超え、2023年度はとくにセルフホワイトニングの相談が大きく増えていると注意を呼びかけました。
SNS広告から無料体験に行き、強く勧められて契約したところ、最低契約期間と約2万円の違約金があったという事例も紹介されています。
セルフエステは一般にクーリング・オフの対象外です。
その場で決めずに、いったん持ち帰る習慣を持っておきたいですね。

歯科専売のホームホワイトニングにも落とし穴はあります

一時的にしみることがある

歯科医院のホームホワイトニングは、作用がおだやかで、透明感のある自然な白さになりやすい方法です。
日本歯科医師会も、オフィスホワイトニング(歯科医院の診療室で行う漂白)に比べて後戻りが少ないと紹介しています。

ただ、使っている間に歯がしみる「知覚過敏」が出ることがあります。
多くは一時的なもので、適切に対応すれば大きな問題にはならないとされていますが、我慢して続けるのはおすすめしません。
しみたら無理に続けず、担当の先生に相談する。
それを覚えておくだけで、慌てずにすみます。

詰め物や被せ物は白くならない

漂白の薬剤が作用するのは、ご自身の天然の歯です。
前歯に白い詰め物や被せ物がある場合、周りの歯だけが明るくなって、かえって色の差が目立つことがあります。

50代になると、若いころに入れた詰め物が前歯に残っている方も多いものです。
私の周りでも、ホワイトニングのあとに詰め物をやり直した、という話を何度か聞きました。
その費用や期間も含めて、最初の相談で見通しを聞いておくと安心です。

使ったあとの飲食に気をつける

日本歯科医師会によると、漂白の直後は歯の表面を守っている膜(ペリクル)が一時的に取り除かれ、色素がつきやすく、酸にも弱い状態になります。
膜は唾液でだんだん戻るため、処置のあと1時間程度は次のようなものを控えるよう案内されています。

  • カレーや赤ワインなど、色の濃い飲食物
  • グレープフルーツやレモンなど、酸味の強いもの
  • 喫煙

私のようにお茶を習慣にしている人は、ホワイトニングの時間帯とお茶の時間をずらすだけでも、白さの持ちが変わってきます。

どちらを選ぶか、見極めの目安

市販品で十分なのはこんな方

市販品が向いているのは、もともとの歯の色には不満がなく、コーヒーや紅茶、お茶による着色が気になっている方です。
歯医者さんで歯のクリーニングを受けたあと、きれいな状態を保ちたいときにも役立ちます。

白さを保つには、日々のケアに加えて定期的に歯科医院でチェックとクリーニングを受けることも欠かせません。
これは日本歯科医師会も、白さの維持について伝えていることです。

歯科医院に相談したほうがいいのはこんな方

次のどれかに当てはまるなら、市販品を探すより、一度歯科医院で相談するほうが近道です。

  • 汚れを落としても、歯の地の色が黄色っぽい
  • 若いころより全体的にくすんで見える
  • 前歯に詰め物や被せ物がある
  • むし歯や歯周病の治療がまだ終わっていない
  • 冷たいものがしみやすい

むし歯や歯周病がある場合は、ホワイトニングより先に治療が必要になることもあります。
「白くしたい」と伝えて受診することで、口の中全体を見直すきっかけにもなります。

歯科医院で聞いておきたいこと

日本歯科審美学会は、施術の内容や費用だけでなく、施術する人の資格についても十分に説明を受けたうえで処置を受けるよう呼びかけています。
初めての相談では、次のように聞いてみてください。

  • 「私の歯の色は、ホワイトニングでどのくらいまで明るくなりそうですか」
  • 「前歯の詰め物は、白くなった歯と色が合わなくなりますか」
  • 「マウスピースと薬剤の費用、薬剤を追加するときの費用はいくらですか」
  • 「しみたときは、どう連絡すればいいですか」

こうした質問に丁寧に答えてくれるかどうかも、医院を選ぶときの大切な手がかりになります。

まとめ

市販のホワイトニング歯みがきは、表面の着色を落として、もともとの歯の色に戻すためのものです。
歯科専売のホームホワイトニングは、歯そのものの色を明るくする漂白で、歯科医院の診察を経てはじめて使えます。
どちらがすぐれているという話ではなく、悩みの種類によって向き不向きが分かれます。

落とし穴の多くは、この違いを知らないまま選んでしまうところにあります。
市販品に期待しすぎて遠回りしたり、「漂白」をうたう通販品やサロンの勧誘に流されたり。
反対に歯科医院のホワイトニングでも、知覚過敏や詰め物の色の差は起こりえます。

まずは鏡の前で、気になっているのが表面のくすみなのか、歯の地の色なのかを見てみてください。
迷ったら、かかりつけの歯医者さんでクリーニングを受けながら相談するのが、いちばん確かな一歩だと私は思っています。

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