口を大きく開けて笑ったとき、ふと鏡に映った銀歯が気になった──そんな経験はありませんか?「笑顔を隠すようになってしまった」「写真に写るのが恥ずかしい」という声は、私がこれまで取材で出会ってきた多くの女性たちが口にしていたことです。
はじめまして。フリーライターの吉岡朋子と申します。かつては出版社で女性向けライフスタイル誌の編集長を務め、美容・健康分野の取材を長年続けてきました。50歳での独立後は、歯科医師や歯科衛生士と定期的に意見交換しながら、「口元の健康と美」をテーマにした記事を執筆しています。
実は私自身、40代のころに奥歯の銀歯が目につくようになり、白い歯への交換を経験した一人です。「費用はどのくらい?」「保険は使えるの?」「本当に効果はあるの?」──当時、答えが見つからずに困ったことを今もよく覚えています。
この記事では、そんな疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。2026年2月現在の最新情報をもとに、保険診療・自費診療それぞれの方法と費用の目安、治療のメリット・デメリット、そして医療費控除まで徹底的にまとめました。ぜひ最後までお読みいただき、あなたらしい選択の参考にしていただけますと幸いです。
目次
銀歯とは何か、なぜ気になるのか
まず、「銀歯」について少し整理しておきましょう。銀歯とは、虫歯治療で歯を削ったあとに装着する金属製の詰め物・被せ物のことで、正式には「金銀パラジウム合金」を主成分とする合金が使われています。保険適用で費用が抑えられること、強度が高く耐久性に優れることから、長年にわたって日本の歯科治療の標準的な選択肢として定着してきました。
とはいえ、口を開けたときに見える金属の色は、どうしても目立ちます。特に笑顔になったときに奥歯の銀歯がちらりと見えてしまうのが気になる、という方は非常に多いのです。
また、見た目だけでなく健康面への影響も近年注目されています。
- 金属が長年にわたって口腔内で腐食・溶出することで、金属アレルギーが引き起こされる場合がある
- 銀歯と歯の間に隙間が生じやすく、そこに歯垢が溜まって虫歯の再発リスクが高まる
- 唾液中の成分と反応して変色・変形し、歯茎が黒ずむ「メタルタトゥー」が生じることがある
こうした背景もあり、今では「銀歯を白くしたい」と考える方が年々増えています。そしてうれしいことに、現在の歯科技術では保険診療でも自費診療でも、さまざまな方法で白い歯にすることが可能になっています。
保険診療で白くする方法
「費用をなるべく抑えたい」という方にとって、まず気になるのが保険適用の有無でしょう。結論からお伝えすると、2026年現在、保険診療でも多くの歯を白くすることが可能になっています。
ただし、使える素材や適用できる歯の部位には一定のルールがあります。それぞれの方法を見ていきましょう。
コンポジットレジン(CR)
コンポジットレジンは、セラミック粒子と合成樹脂(プラスチック)を混ぜ合わせた白い歯科用素材です。ペースト状の材料を歯に直接詰め、特殊な光を当てて固めるため、型取りが不要で1回の通院で処置が完了することも多いのが特徴です。
費用の目安は1本あたり1,000〜2,000円程度(3割負担の場合)と非常に安価です。詰め物のサイズが小さい場合であれば、ほぼすべての歯に保険適用で使用できます。
ただし、金属やセラミックに比べると強度が劣り、長期間使用すると変色・劣化が起きやすいという点はデメリットです。コーヒーや赤ワイン、カレーなどの着色しやすい飲食物にも注意が必要で、2〜3年での交換が必要になるケースもあります。
CAD/CAM冠(ハイブリッドセラミック)
CAD/CAMとは「コンピュータ支援設計・製造」のことで、歯の形をデジタルスキャンしてコンピュータ上で設計し、ハイブリッドセラミック(セラミック粒子と合成樹脂の混合素材)のブロックを機械で削り出して被せ物を作る技術です。
2014年に保険導入されて以来、適用範囲が段階的に拡大され、現在では一番奥の歯(第二大臼歯)を除いて保険適用で白い被せ物が装着できるようになっています。なお、公益社団法人日本補綴歯科学会が公開する保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針では、適用条件の詳細や使用素材の規格が専門的にまとめられています。
費用の目安は1本あたり3,000〜10,000円程度(3割負担の場合)で、金属を一切使用しないためアレルギーの心配も少ないのが利点です。
コンポジットレジンよりも強度・耐久性・審美性に優れていますが、自費のセラミックと比較すると、やはり変色しやすい・割れやすいというデメリットはあります。
硬質レジン前装冠
硬質レジン前装冠は、内側を金属のフレームで補強し、表側(見える部分)だけに白いプラスチックを貼り付けた被せ物です。保険適用されるのは上下の前歯6本のみで、奥歯に使う場合は自費診療になります。
強度は確保されているものの、内側に金属を使用しているため金属アレルギーのリスクがあること、また表面のプラスチック部分が年月とともに変色しやすい点には注意が必要です。
自費診療で白くする方法
審美性や耐久性にこだわりたい方には、自費診療(保険適用外)の素材が選択肢になります。費用は高くなりますが、仕上がりの美しさや長持ちのしやすさという点では、自費素材が大きくリードしています。
オールセラミック
セラミック(陶器素材)のみで作られた被せ物・詰め物です。天然歯に近い透明感と自然な白さを再現でき、変色しにくく、表面に汚れや細菌が付着しにくいため虫歯のリスクを下げる効果も期待できます。前歯など特に見えやすい部分の治療に多く選ばれています。
デメリットは、衝撃に弱く強い力がかかると割れる可能性があること。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方、奥歯への使用には注意が必要です。
費用の目安は詰め物で6〜8万円程度、被せ物で8〜22万円程度です。
e-max(イーマックス)
ニケイ酸リチウムガラスを主成分とした強化ガラスセラミックで、オールセラミックの美しさにさらなる強度を加えた素材です。透明感が高く、天然歯と見分けがつかないほどの自然な仕上がりになると評価されています。天然歯と同程度の硬さのため、噛み合わせの歯を傷つけにくいのも特徴です。
費用の目安は詰め物で4〜6万円程度、被せ物で7〜10万円程度です。
ジルコニア
「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど強度が高く、奥歯や噛む力が強い方にも安心して使える素材です。金属を使わないためアレルギーの心配がなく、変色・変形もしにくいのが特徴です。審美性はオールセラミックやe-maxに比べるとやや劣るものの、機能性と耐久性を重視したい方には最も適した選択肢の一つです。
費用の目安は詰め物で4〜6万円程度、被せ物で10〜20万円程度です。
メタルボンド
金属のフレームにセラミックを焼き付けた被せ物です。強度と審美性を両立させた素材として選ばれることがありますが、内側が金属であるため金属アレルギーや歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)のリスクがある点は念頭に置いておく必要があります。角度によっては金属が透けて見えることもあります。
費用の目安は詰め物で4〜6万円程度、被せ物で7〜13万円程度です。
素材・費用の目安一覧
ここまでに紹介した素材について、費用の目安を一覧表にまとめました。自費診療の場合は歯科医院によって料金設定が異なるため、あくまでも参考値としてご覧ください。
| 素材 | 種別 | 費用の目安(1本あたり) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| コンポジットレジン | 保険 | 1,000〜2,000円(3割負担) | 安価・短時間。変色しやすい |
| CAD/CAM冠 | 保険 | 3,000〜10,000円(3割負担) | 白い被せ物を保険で。強度はやや低め |
| 硬質レジン前装冠 | 保険(前歯のみ) | 5,000〜6,000円(3割負担) | 前歯限定・表側のみ白い |
| ハイブリッドセラミック(自費) | 自費 | 詰め物3万円〜、被せ物4〜8万円 | 保険CAD/CAMより審美性・耐久性が高い |
| オールセラミック | 自費 | 詰め物6〜8万円、被せ物8〜22万円 | 透明感高く最も自然な仕上がり |
| e-max(イーマックス) | 自費 | 詰め物4〜6万円、被せ物7〜10万円 | 審美性と強度のバランスが優秀 |
| ジルコニア | 自費 | 詰め物4〜6万円、被せ物10〜20万円 | 最高強度。奥歯・歯ぎしりにも対応 |
| メタルボンド | 自費 | 詰め物4〜6万円、被せ物7〜13万円 | 強度高いが金属アレルギーに注意 |
※費用はすべて目安であり、歯科医院・治療内容・歯の状態によって変わります。事前に必ず歯科医院に確認してください。
銀歯を白くするメリットとデメリット
銀歯を白くすることには、確かなメリットがある一方で、知っておきたいデメリットも存在します。一方的に「白い歯が良い」と伝えるのは誠実ではないと私は思っていますので、両面をしっかりお伝えします。
メリット
- 見た目が大きく改善され、笑顔への自信が生まれる
- 金属を使わない素材を選べば、金属アレルギーのリスクを回避できる
- セラミック系素材は表面が滑らかで汚れが付きにくく、虫歯・歯周病のリスクを下げやすい
- 天然歯と歯の間に隙間が生じにくく、二次的な虫歯の予防につながる(主にセラミック系の場合)
- 歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)の発生リスクが減る
デメリット
- 自費診療の場合は費用が高額になる
- 銀歯と比べると強度が劣る素材が多く、破損のリスクがある(特にオールセラミック)
- レジン系の素材は経年で変色・劣化しやすい
- 銀歯を外して新しい素材を装着するために歯を削る必要があり、歯へのダメージが伴う場合がある
- 治療後、素材が定着するまでの間は硬いものや熱いものを避ける配慮が必要
銀歯は強度が高く、噛む力が強い方でも安心して使えるという利点があることも忘れないでください。白くすることが必ずしも「正解」ではなく、ご自身の歯の状態や生活習慣、予算と照らし合わせて選んでいただくことが大切です。
治療の大まかな流れ
「どんなふうに治療が進むの?」という疑問も多いですよね。銀歯を白くする治療は、一般的に以下のような流れで進みます。
- カウンセリング・検査:現在の歯の状態を確認し、希望する素材や予算をもとに治療計画を立てます
- 銀歯の除去・歯の形成:古い銀歯を取り除き、新しい素材を装着するための形に整えます
- 型取り・仮歯の装着:歯型をとって補綴物(詰め物・被せ物)を作製します。この間は仮歯を装着します(コンポジットレジンは型取り不要で1回で完了する場合も)
- 補綴物の装着・調整:完成した詰め物・被せ物を装着し、噛み合わせを調整します
- 定期メンテナンス:治療後も定期的なクリーニングと検診を続け、白い歯の状態を維持します
治療期間は素材や歯の状態によって異なりますが、CAD/CAMを使った1日完結型の治療(セレックシステムなど)を提供している歯科医院では、最短1日で白い歯を装着できる場合もあります。お急ぎの方はそういった対応をしているクリニックを探してみるとよいでしょう。
気になる医療費控除について
自費診療でのセラミック治療は費用が高額になりがちですが、場合によっては「医療費控除」を活用できる可能性があります。
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告で申告することで税金の一部が戻ってくる制度です。セラミックなどの自費診療も対象になり得ますが、重要なのは「治療の目的」です。
国税庁が公開するNo.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例によると、虫歯治療や噛み合わせの機能回復を目的として行われたセラミック治療は、医療費控除の対象となり得ます。一方で、見た目を美しくすることのみを目的とした審美的な治療は、対象外になる可能性が高いとされています。
具体的には次のような治療が対象になりやすいとされています。
- 虫歯治療で歯を削り、その補綴としてセラミッククラウンを装着した
- 銀歯が欠けて、再治療としてセラミックに交換した
- 噛み合わせや咀嚼機能を回復させる目的で補綴を行った
一方、見た目の改善だけを目的として健康な歯に行うセラミック治療や、ホワイトニング・ラミネートベニアなどは対象外となる場合がほとんどです。
医療費控除の申告は毎年2月16日〜3月15日の確定申告期間に行います。領収書は5年間の保管が必要ですので、治療を受けたら必ず保管しておきましょう。なお、自身の治療が控除対象に当たるかどうかについては、担当の歯科医師や税務署に確認されることをおすすめします。
後悔しないためのクリニック選びのポイント
審美歯科治療を検討される際は、クリニック選びも非常に重要です。私がこれまでの取材で感じてきた、信頼できる歯科医院を選ぶための視点をご紹介します。
- カウンセリングが丁寧で、治療方針や費用を明確に説明してくれる
- 症例数が豊富で、セラミックやジルコニアなど希望する素材の実績が確認できる
- 治療後の保証制度が整っている(補綴物の破損や脱離に対する保証期間の有無など)
- 定期メンテナンスや術後のフォローアップ体制が充実している
- 複数の歯科医院で見積もりを取って、費用・治療内容を比較することも大切
「安い」「近い」だけで選ぶのではなく、担当の歯科医師との対話を大切にしてください。私がお会いしてきた患者さんの中で「やってよかった」とおっしゃる方は例外なく、事前に十分な説明を受け、納得した上で治療に臨んでいました。
また、治療後のセルフケアも欠かせません。コンポジットレジンやCAD/CAM冠などは特に着色しやすいため、コーヒーや紅茶、ワインなどを飲んだあとはすぐに口をゆすぐ習慣をつけることが大切です。研磨剤の多い歯磨き粉は素材を傷つける可能性があるため、使用する歯磨き粉についても歯科医師に相談してみてください。
まとめ
銀歯を白い歯に変えることは、以前に比べてずっとアクセスしやすくなりました。保険診療でも多くの歯を白くすることができるようになっており、「費用が心配」という方でも選択肢がぐっと広がっています。
改めて、この記事のポイントを振り返ります。
- 保険診療では「コンポジットレジン」「CAD/CAM冠」「硬質レジン前装冠」の3つが主な選択肢で、費用を抑えながら白い歯にすることが可能
- 自費診療では「オールセラミック」「e-max」「ジルコニア」「メタルボンド」など、より審美性・耐久性に優れた素材を選べる
- 費用は素材と治療内容によって1本数千円〜20万円以上まで幅広く、歯科医院によっても異なる
- 治療目的によっては医療費控除が適用できる場合もあり、確定申告で費用負担を軽減できる可能性がある
- クリニック選びでは、丁寧な説明・豊富な症例実績・保証制度・術後フォローを確認することが大切
口元の印象が変わると、自分でも驚くほど気持ちが前向きになるものです。この記事がみなさんの「一歩」を踏み出すきっかけになれば、これほどうれしいことはありません。どうか焦らず、自分にとって最善の選択を見つけてください。