「歯医者さんって、なんだか本音が聞けない…」
治療の説明は丁寧にしてくれるけれど、本当に聞きたい細かいことや、素朴な疑問を口にするのは、なぜか少し躊躇してしまう。
あなたも、そんな風に感じたことはありませんか?
こんにちは。
フリーライターの吉岡朋子と申します。
かつては女性誌の編集者として、多くの女性の健康や美容に関する悩みと向き合ってきました。
その中で特に大きなテーマだったのが「口元の美しさと健康」です。
独立後は、歯科医療の分野を専門に、数多くの歯科医師や衛生士の方々に取材を重ねてきました。
そこで見えてきたのは、患者さんが抱くイメージと、歯科医師が心の中に秘めている「本音」との間にある、少し切ないすれ違いでした。
この記事では、私が取材現場で耳にしてきた歯科医師たちのリアルな声をお届けします。
この記事を読み終える頃には、歯科医院に対する見方が少し変わり、あなたにとって最高のパートナーとなる歯科医師と出会うための、具体的な一歩が踏み出せるはずです。
目次
なぜ?歯科医師との間に「見えない壁」ができてしまう3つの理由
多くの人が感じている歯科医師との距離感。
その原因は、決してどちらか一方が悪いというわけではありません。
取材を通して見えてきた、お互いの立場から生まれる「見えない壁」の正体について、まずは考えてみたいと思います。
理由1:専門用語の壁と「説明したつもり」の罠
歯科医師は、できるだけ分かりやすく伝えようと努力しています。
しかし、日常的に使っている言葉が、無意識のうちに専門用語になってしまうことがあります。
「インレー」「クラウン」「歯周ポケット」…。
患者さんにとっては聞き慣れない言葉も、歯科医師にとっては当たり前の言葉。
そのギャップが、意図せずして「説明されたけれど、よく分からなかった」という状況を生み出してしまうのです。
理由2:「怖い」「痛い」という先入観への過剰な配慮
「歯医者=怖い」というイメージは、残念ながら根強く残っています。
多くの歯科医師はそのことをよく理解しているため、「患者さんを怖がらせてはいけない」と、かえって言葉を選びすぎてしまうことがあります。
本当は伝えたいたくさんの選択肢や、少し厳しい現実の話も、「これを言ったら不安にさせてしまうかも…」という配慮から、オブラートに包んだ表現になってしまう。
その優しさが、時として本音のコミュニケーションを妨げる一因になっているのかもしれません。
理由3:限られた診療時間という現実的な制約
大学病院などを除き、多くの歯科医院は予約制で、一人ひとりの患者さんにかけられる時間には限りがあります。
歯科医師は、その時間内で正確な診断と丁寧な治療を行うことに全力を注いでいます。
そのため、どうしても治療そのものが優先され、ゆっくりと世間話をするような時間は取りにくいのが現実です。
「忙しそうだから、こんな質問をするのは申し訳ない…」と患者さんが感じてしまう背景には、こうした事情もあるのです。
取材で聞いた、歯科医師が本当に伝えたい5つの本音
では、歯科医師は普段、患者さんにどんな想いを抱いているのでしょうか。
これまで多くの先生方から伺った、特に印象的だった「本音」を5つご紹介します。
これは、きっとあなたの歯医者さんに対するイメージを、少し温かいものに変えてくれるはずです。
本音1:「痛くなる前に来てほしい」が一番の願いです
多くの歯科医師が口を揃えて言うのが、この言葉です。
「歯が痛い」という状態は、虫歯や歯周病がかなり進行しているサイン。
そうなると、治療も複雑になり、期間も費用もかさんでしまいます。
むし歯も歯周病も、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
だからこそ、何も症状がないうちに、美容院に通うような感覚で定期検診に来てほしい。
それが、あなたの歯を一番長く、健康に保つための最善の方法なんです。
これは、ある予防歯科に力を入れている院長先生の言葉です。
治療ではなく、予防のために会いたい。
それが、歯科医師たちの偽らざる本音なのです。
本音2:治療のゴールは「一緒に」決めたいと思っています
歯科医師は、ただ悪いところを治す職人ではありません。
治療を通して、患者さんの生活の質(QOL)を向上させたいと願っています。
- 「思いっきり笑えるようになりたい」
- 「何でも美味しく食べられるようになりたい」
- 「人前で話すことに自信を持ちたい」
あなたが治療によってどんな未来を望んでいるのか、ぜひ言葉にして伝えてみてください。
そのゴールを共有することで、歯科医師はあなたにとって最適な治療計画を、より情熱を持って提案してくれるはずです。
本音3:あなたの「毎日の歯磨き」こそが最高の治療協力です
どんなに高度な治療をしても、日々のセルフケアが疎かになってしまっては、その効果を長く維持することはできません。
歯科医師は、治療後のあなたの口の中を毎日見ることはできません。
だからこそ、治療の成功のバトンは、最終的にあなた自身に託されています。
歯科医院で教わった正しいブラッシングを実践してくれること。
それが、歯科医師にとって何よりの喜びであり、最高の協力なのです。
本音4:どんな些細な疑問や不安も、話してくれると嬉しいです
「こんなこと聞いたら、変に思われるかな?」
そんな心配は一切不要です。
むしろ、あなたが感じている小さな疑問や不安を伝えてくれることは、歯科医師にとって非常に重要です。
なぜなら、その一言が、隠れた問題点や、あなた自身が気づいていない本当の要望を知るきっかけになるからです。
安心して治療を受けてもらうためにも、心の中にあるモヤモヤは、ぜひ言葉にして伝えてみてください。
本音5:治療費の話は、決してタブーではありません
保険診療、自費診療など、歯科治療には様々な選択肢があり、費用も大きく異なります。
お金の話はしにくいと感じるかもしれませんが、これも大切な治療計画の一部です。
多くの歯科医師は、あなたの予算や価値観に応じて、複数の選択肢を提示したいと考えています。
「費用が心配で…」と正直に伝えてくれれば、支払い方法の相談に乗ってくれたり、予算内で最善を尽くすプランを一緒に考えてくれたりするはずです。
遠慮なく相談することが、結果的に双方の納得に繋がります。
もう失敗しない。「信頼できる歯科医師」と出会うための3つのアクション
歯科医師の本音が分かったところで、次は私たちがどう行動すれば良いのでしょうか。
良い治療は、良い歯科医師との出会いから始まります。
ここでは、あなたにとって最高のパートナーを見つけるための、具体的なアクションを3つ提案します。
アクション1:初診カウンセリングで「対話」を重視する医院か見極める
初めて歯科医院を訪れる際は、治療の腕前だけでなく、コミュニケーションの姿勢にも注目してみてください。
良い歯科医院は、初診時に十分な時間をかけてカウンセリングを行います。
あなたの話をじっくりと聞き、一方的に説明するのではなく、対話を通じて悩みや希望を深く理解しようと努めてくれます。
あなたという「人」に興味を持ってくれているか。
その視点で、最初のコミュニケーションを大切にしてください。
アクション2:「どうなりたいか」というあなたの希望を具体的に伝える
ただ「悪いところを治してください」と伝えるだけでなく、あなた自身の言葉で「理想の状態」を伝えてみましょう。
例えば、こんな風に。
- 「前歯の隙間が気になって、写真を撮るときに自然に笑えないんです。自信を持って笑えるようになりたいです」
- 「将来、自分の歯でステーキを食べるのが夢です。そのために今からできることを始めたいです」
具体的な希望を伝えることで、歯科医師はあなたの価値観を理解し、治療のゴール設定がより明確になります。
アクション3:治療の選択肢について、メリット・デメリットをしっかり聞く
一つの症状に対しても、治療法は一つとは限りません。
それぞれの治療法には、必ずメリットとデメリットが存在します。
信頼できる歯科医師は、複数の選択肢を提示し、それぞれの利点だけでなく、欠点やリスクについても正直に説明してくれます。
その説明にきちんと耳を傾け、分からないことは何度でも質問する。
このプロセスを経て、最終的にあなた自身が「この方法でお願いしよう」と心から納得することが、治療の満足度を大きく左右します。
信頼関係がもたらす、質の高い治療とその先の未来
歯科医師との間に確かな信頼関係が築けると、あなたの歯科治療体験は、これまでとは全く違うものになるはずです。
治療の質と満足度が格段に向上する
お互いに本音で話し合える関係があれば、治療計画はよりパーソナルで、精度の高いものになります。
あなたは安心して治療に臨むことができ、歯科医師は持てる技術を最大限に発揮できる。
その結果、治療の質も、そしてあなたの満足度も格段に向上するのです。
生涯にわたる「お口の健康パートナー」が見つかる
信頼できる歯科医師は、単なる「治療する人」から、あなたの人生に寄り添う「健康パートナー」へと変わります。
お口の健康は、全身の健康、そして心の健康にも繋がっています。
何でも相談できるパートナーの存在は、これからの人生をより豊かにしてくれる、かけがえのない財産となるでしょう。
美しさと自信につながる、あなたらしい笑顔へ
口元のコンプレックスから解放され、健康で美しい歯を手に入れることは、あなたに大きな自信を与えてくれます。
人との会話を心から楽しみ、食事を味わい、思いっきり笑う。
信頼できる歯科医師との出会いは、あなたらしい、最高の笑顔を取り戻すための第一歩なのです。
まとめ
今回は、私が取材を通じて感じてきた「歯科医師の本音」と、それを踏まえた信頼関係の築き方についてお話ししました。
最後に、大切なポイントを振り返ってみましょう。
- 歯科医師との間には、専門用語や先入観など、いくつかの「見えない壁」が存在する。
- 多くの歯科医師は「予防のために来てほしい」「治療のゴールを一緒に決めたい」と心から願っている。
- 信頼できる歯科医師と出会うには、カウンセリングでの対話や、自分の希望を具体的に伝えることが重要。
- 確かな信頼関係は、治療の質を高め、あなたの人生をより豊かにしてくれる。
歯科医院のドアを開けるのは、少し勇気がいるかもしれません。
しかし、その向こうには、あなたの健康を心から願い、最高の笑顔のために力を尽くしたいと思っているプロフェッショナルがいます。
この記事が、あなたと素敵な歯科医師との出会いの架け橋となることを、心から願っています。
どうぞ、あなたのその一歩を、自信を持って踏み出してみてください。